日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

2020-01-01から1年間の記事一覧

◎孫の成長記録(姉2歳2ヶ月、弟4ヶ月)コミュニケーションの基本。

※〈教育やケア(子育てや介助・介護)は、その相手である一人ひとりの思いに濃やかに耳を傾けることからはじまり、また相手がいつの日かみずからの足で立つ、みずからをたてなおすのをじっと待つ、ということがとくに大きな意味をもついとなみである。〉(鷲…

◎〈対話〉の可能性(鷲田清一「ひとを理解すること」から)

〇先日掲載した、平田オリザ『対話のレッスン』の「二一世紀、対話の時代に向けて」で次のように述べる。 〈二一世紀のコミュニケーション(伝達)は、「伝わらない」ということから始まる。……対話の出発点は、ここにしかない。 ・私とあなたは違うというこ…

◎共同性と共同幻想(鶴見俊輔と吉本隆明の対話などから)

〇ひとは他者との相互依存でなりたっている。「わたし」の生も死も、在ることの理由も、他者とのつながりのなかにある。 また、ひとりでは生きていけない人間は、さまざまな人間とコミュニケートしながら社会をつくる。 最近の進化生物学は、ヒトは同胞とと…

◎他者の異質性を尊重する社会(中島義道『「対話」のない社会から)

〇中島義道『「対話」のない社会―思いやりと優しさが圧殺するもの』を読む。 第1章「沈黙する学生の群れ」で、「何か質問は?」と教師が語りかけても沈黙を続ける学生たちなど具体的なご自分の体験の事例をあげ、第2章「アアセヨ・コウセヨという言葉の氾濫…

◎「対話的な学び」に必要なもの(平田オリザ『対話のレッスン』から)

〇『対話のレッスン』は平田氏のコミュニケーション論のエッセンスを書き綴った1997年から2000年までの連載記事である。 縦軸に演劇論を展開し、横軸に「対話」の構造、「会話」との違いを述べ、日本人には欠落してと思われる「対話」のあり方を探っ…

◎『みんなの介護』の「内田樹『賢人論・第90回』」

※インタネットでよく参照するサイトに『最新の社会保障・介護関連のニュースを配信している「みんなの介護』がある。 その中の「賢人論」も時折読んで、いろいろ参考にしている。 案内によると《「賢人論」は、「みんなの介護」がお送りする特別インタビュー…

◎孫の成長記録(姉・2歳1ヶ月、弟・3ヶ月)身体で世界とつながる.

〇全身を使って 弟が出来たことで、2年ほどの違いがあるお姉ちゃんの育ちを振り返ることもあり、乳児の育ちを複合的に見ることができ、面白い。 弟は3ヶ月を過ぎ、目元もしっかりしてきて、目の前のものをじっくり見つめる時間も長くなり、追視できる範囲も…

◎友人T・Yさんの「命の終い方」について思うこと。

〇T・Yさんのかなり厳しくなってからのFacebookの記事や交信からは、「奥さんをはじめみんなに支えられて生かされている」という心がしみじみ伝わってきていました。 次の記録も印象に残っています。 〈2020.7.31:いろいろ心配してくれてありがとう。まず…

◎友人T・Yさんの旅立について。

〇T・Yさんから10月23日にファクスがあり、彼の携帯に電話して話を交わし、その後、ファクスの交信をしました。 奥さんをはじめみんなに支えられて生かされているという心が伝わってきました。 4日に腸閉そくの痛みで受診、そのまま入院になりました…

◎支え合いで成り立つ社会へ。

〇わたしが60歳の時、妻の90歳を越える両親の生活状況が厳しくなっていて、義父母の一緒に暮らしたいとの要望もあり、2007年12月に三重県鈴鹿市から島根県出雲市に移住した。四人合わせて300歳を超えていた。 出雲に移住してから、両親が手掛け…

◎「命の閉じ方」(佐々涼子『エンド・オブ・ライフ』を読む)

〇本書は、著者が在宅医療の取材に取り組むきっかけとなった自身の母の病気、それを献身的に看病する父の話を横軸に、看護師の男性との出会いと別れを縦軸に、京都の診療所を舞台に、在宅医療に関わる医師や看護師、そして患者たちの7年間にわたる在宅での終…

◎子どもが育つ環境について思うこと。(二人目の孫が生まれて)②

〇子どもが育つ人的環境について 子どもが育つ環境については、物的環境、人的環境、空間的環境、時間的環境とそれぞれあるでしょうが、僕が最も大事にしていきたいのは、人の和ではないかと考えている。 子どもが健やかに成長していくためには、できるだけ…

◎子どもが育つ環境について思うこと。(二人目の孫が生まれて)①

〇よい環境で育つ、人の中で育つ ひとは生きるために、その生涯の出発点で、他者からの援助を必要とする。赤ちゃんはぎゃあぎゃあ泣いて、お乳をほしがって、飲んで、寝て、うんこして、お母さんの顔を懸命に覚えて、とにかく必死で生きようとしている。 そ…

◎孫の成長記録(姉・二歳、弟・二か月)

〇姉は10月20日の誕生日で満二歳。8月28日生まれの弟はもうすぐ二か月。 何かと二人の孫のどちらかをみることが続いている。 新生児を預かるのは、お姉ちゃんよりも、今のところだいぶ楽だ。 弟の様子を見ていると、姉の成長の軌跡を思い、二年という…

◎広々した時間意識で(内田樹『サル化する世界』より)

〇本書は「今さえよければ自分さえよければ、それでいい」―サル化が急速に進む社会でどう生きるか? との内容で、ポピュリズム、敗戦の否認、嫌韓ブーム、AI時代の教育、高齢者問題、人口減少社会、貧困、など、講演や論考をまとめたものとなっている。いく…

◎退院後10ヶ月目の脊髄小脳変性症の診察を受ける。

〇今日は定期的な検査でK病院に行く。新型コロナウイルスもある程度落ち着いてきたが、ごった返していた総合病院の窓口受付はそれ以前と比べて4分の一程度になったのか、受付から診療まですんなり進む。 ヘンな言い方になるかもしれないが、それほど必要性…

◎混沌とした心理の中に(遠藤周作『人生の踏絵』(新潮社、2017)を読む)

〇『人生の踏絵』は、『沈黙』の創作秘話をはじめ、海外小説から読み解く文学と宗教、愛と憐れみ、そして人生の機微と奥深さを縦横に語った講演録で、小説を書く作家の心構え、その作品を読むときの大事な視点など、考えさせられる内容が縦横無尽に語られて…

◎沈黙の灰の中から呼び起こし(遠藤周作『沈黙』を読む)

※マーティン・スコセッシ監督の映画『沈黙』を観る機会があり、その後遠藤周作の小説『沈黙』を読んだ。 〇小説『沈黙』 寛永14(1637)年の島原の乱が鎮圧されて間もないころ、キリシタン禁制の厳しい中、隠れキリシタンが僅かに残る江戸期日本に、二…

◎自我意識にたてこもらない他者体験

〇わからないものをそのまま受け入れる 最近、とても嫌な思いがしたことがある.いろいろ振り返ってみると、これと同じような感情はだいぶ前のことになる。ここ10年の暮らしでも、いろいろなタイプの人と関わったが、そのようなことが思い当たらなかった。…

◎孫の成長記録(1歳11ヶ月)弟が生まれた。

〇新生児をみる。 娘が上の孫の保育園を見に行くので、生まれたばかりの新生児をみることになった。先月28日誕生だから9月11日の今日は2週間になる。 見るといってもほとんど妻で、泣いたらおむつを替えたりミルクを飲ませたりする。 寝ているのを見るのは…

◎『風に立つライオン』と希望をもたらす人たち

〇「風に立つライオン」は、さだまさしの親しくしている知人で、1960年代後半ケニアのナクールにある長崎大学熱帯医学研究所に出向した柴田紘一郎医師のエピソードをもとに、1987年さだ自身が作詞・作曲をした作品である その後、さだ自身によって小説化され…

◎「自立主義的生活規範」と「自律」について。

〇「自律」は、自分の考え、行為を主体的に選択すること。それに対して、「自立」は他に依存しないで、自分の力で判断したり身を立てたりすること。 ちなみに、広辞苑では次のようになっている。 【自立】:他の援助や支配を受けず、自分の力で判断したり身…

◎孫の成長記録(1歳10ヶ月)自律性を大事に。

〇孫の成長記録(1歳10ヶ月)自律性を大事に。 孫はいろいろなこと分かるようになり、大体こちらの伝えたいことも分かってきて、素直に応じるときもあれば、イヤイヤをすることもあり、また要求も強くなってきた。 イヤイヤは子どもの要求とこちらの事情がぶ…

◎「働く」ことの本質は「贈与すること」(内田樹の「働くとはどういうことか」から)

〇最近再燃してきたベーシックインカム(BI)論から、「働く」について考えてみる。 ベーシックインカム(BI)とは、「すべての個人が、無条件で、生活に必要な所得への権利を持つ」という考え方で、「働くこと(生きること)」と「生きるために必要な所得(…

◎新型コロナウイルスとベーシックインカム(BI)

〇先日、国民に一律10万円を給付する「特別定額給付金」が届いた。 現在無収入の私たちにとって、コロナによる収入的な影響はないにしても、一時的とはいえありがたくいただいた。 息子は小さな町工場を一人で担っているが、単価の安い部品注文はそれなりに来…

◎「自分自身のこと」として。(ラッセル=アインシュタイン宣言について)

※核廃絶を考えるに際して、この宣言の考え方は原点になるものだと思っている。そこに至るには、さまざまな難しい課題があるだろうが、この宣言は知っておく必要があると思っている。 〇ラッセル=アインシュタイン宣言(Russell-Einstein Manifesto)は、イ…

◎敗戦後75年の原爆の記録から。

〇毎年8月になると、太平洋戦争や原爆関連の情報が多くなる。新たにさまざまな記録が見いだされて記事や放送される。その月に限らず、それに関心を寄せてきた。 6日にNHKスペシャル、「映像と証言で綴(つづ)る原爆投下・全記録」を観る。 番組内容は〈戦…

◎友人・M・Mさんの一周忌に思うこと。

〇Mさんが亡くなられて1年がたちました。 最近、宮地さんのブログ「かたつむりつれづれ」、手紙などを読み返しています。 私にとってMさんとは40年以上の交流があり、以前の職場の同僚で切磋琢磨していた間柄でもあり、さまざまな感慨があります。 2018年の…

◎ひとりの〈ふつう〉の人として(吉本隆明についての覚書)

※7月度のNHK100分de名著は「吉本隆明“共同幻想論”」を取り上げた。 『共同幻想論』は私には難しくて、読み通ししたことはない。しかし、その中の言葉「沈黙の有意味性」「大衆の原像」などに魅力を覚えることがあり、それについて考えることがある。 国…

◎孫の成長記録(1歳9ヶ月)挑戦し続けることで、身体・脳が活性化.

(18日)〇孫の成長記録(1歳9ヶ月)孫は裸がお気に入り 今は椅子に乗ってベランダから海を眺めるのがお気に入り。 妻のチョトした介添いで椅子に乗り遂げる。ある時、そこから落ちてしまって大泣きした。しばらくするとまた椅子によじ登ろうとする。 痛い思…