日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

2015-01-01から1年間の記事一覧

◎石川直樹『いま生きているという冒険』

〇「老い」への冒険 安曇野地球宿のスタッフK君が、2年間の体験を終えて、新たな一歩を踏み出すとのメールが送られてきて、何か応えたくなり返信のメールを送った。2度地球宿を訪問し、彼の存在の大きさを実感していて、この期間、望さんが政治に専念でき…

◎ないない尽くしの私から

〇おぐらやま農場からのお便り 先日、おぐらやま農場から「あいかの香り・名月・王林・洋梨・南水梨」のバラエティーに富んだセットがおくられてきて、農場便りや紹介文も含めて、日々の暮らしに楽しみを添えている。 以前のブログでも触れたが、農場は炭素…

◎「人間らしさ」と「動物的ですらなかった」に関しての覚書

〇こころに残るエピソード ​ 昨日知人夫妻が遊びに来てくれた。小説の話になり、旦那は村上春樹の新刊の話を、奥さんは最近大岡昇平「野火」を読んだとのことで、話が弾んだ。 最近のブログに、『野火』についての雑感を載せていた。その際に、戦時下におけ…

◎身体をむしばむ思い込みやゆがんだ健康概念

〇糖尿の薬をやめてみる ​ 私の身体を心配した娘から、それについての研究、仕事をしているM氏を紹介された。その方は、病院のリハビリ指導を経て接骨院を立ち上げ、現在はボクサーのトレーナなどをしながら、体の研究に励んでいるそうだ。 昨日、いろいろ…

◎大岡昇平『俘虜記』『野火』を読んで

※『俘虜記』『野火』を読んで(1) 〇事態は動物的ですらなかった 敗戦濃厚な戦時中という異様な状況で、死と直面している人々の意識、感覚などの混乱と交流を、心理分析と戦場空間に広がる自然、風景を秀麗なレトリックで随所に織り込みながら描いたものだ…

◎個人や組織の所有から、社会で活用していくような仕組み

〇家の整理や処分で思うこと 家の処分に関しては、先ず子どもや親族、ごく親しい知人に声かけ、誰もいないなら、精神障害者の退所支援をしている精神保健福祉支援グループにと考えていた。この地区では空き家が増え続けていて、それだけは避けたかったが、築…

◎身軽なこころとは

長年、義父母が暮らしてきた家の整理 ここのところ連日、あらゆるものを整理整頓して、次の準備に取り掛かっている。7月25日に、義母の一周忌法要があり、その後、現在の住まいを次の人につなげ、身軽になって移住しようとすすめている。 それにしても、…

◎家族のようなその他の関係

〇知人の死去や入院に触れて ​ 6月末に逝去された知人二人の様子について、以前から、癌のことや体調がすぐれていないことなど三人の友人からメール連絡を受けていた。友人からは、親身になって心配している様子が伝わってきて、連絡をしていただくのはあり…

◎老老介護、ある事件に触れて

○私の母のことに思いをはせる 6月19日の新聞(山陰中央新報)に「93歳母の首絞め死なす」との見出し記事が掲載されていた。事件をおこした当事者は入院中の父親と介護をしている母親と暮らしている70歳になる長男だ。 朝方、自宅を訪問した介護施設の…

◎義父母の朝鮮移住と在朝日本人について

〇義父母と戦争体験 ​ 義母一家が朝鮮に移住したのは大正末頃だった。その理由を詳しく話してもらわなかったが、心機一転的な要素があったようだ。 3・1運動後の文化政治の陰で、治安第一主義の標榜のもとに警察官の募集が積極的に行われ、義母の父親は巡…

◎朝鮮で生まれた母、育った義母

〇母と朝鮮 私の母は、1919年に朝鮮忠清南道公州郡の郵便局官舎で出生した。母の父は一家で朝鮮に移住し、そこの郵便局を見ていく人として配置されたらしい。ところが、その当時スペイン風邪が世界中で猛威をふるっていて、その渦中で亡くなり、幼児の頃…

◎義母の経歴、短歌など

〇義母のこと「五十年前に書きたる脱走記刷りて配りぬ今語らねばと」 義母は大正5年(1916年)9月7日 島根県八束郡の小原家の次女として出生。両親の仕事の関係で朝鮮の京城(ソウル)に移住、そこで育つ。昭和11年3月京城女子師範学校卒業後、朝…

◎随筆「元山脱出」

※平成八年、引き揚げ五十年目を迎えるに当り、往時を回顧し、日本の歴史の大変動の波を受けた体験を是非子や孫に伝えたるべく、義母・伊藤君恵が書き綴ったものである。字句の訂正など少し手を入れたが、ほぼ原文のままである。 2015年のブログの「家族のこ…

◎見た目の秩序と乱雑さ 2(エントロピー増大の法則)

〇しわよせの構造 先日のブログで、自分たちの生命や生活の秩序を維持しようとする活動は、往々して、エントロピーの増大を先延ばしにしている、あるいは逆に、しなやかで揺らぎのある秩序を削いでいるのではないのかということに触れた。 家庭菜園を始めて…

◎見た目の秩序と乱雑さ 1(エントロピー増大の法則)

〇エントロピー増大の法則から 私たちの生命や生活、経済的な営みなどを含めて万物は、根源的に「エントロピー増大の法則」に支配されていて、自分たちの生命や生活を維持しようとする活動、あるいはエネルギー問題への取り組みなどは、エントロピーの増大を…

◎いのちをめぐる対話から

〇責任追及は横において ​ Facebookの投稿や知人のHP『ビジョンと断面』(現在は閉じられている)の、「責任追及は横に置いて」 遺族とJR西日本の「いのちをめぐる対話」を読んで考えたこと。 これは、NHK・クローズアップ現代(2015年4月20日放送)「いのち…

◎インタネットを介しての交流の可能性

〇ネットによる特定テーマの広場 ​ 先日、『叱らないでもいいですか』の本の書評で、「教師は、自校や近隣の学校のみの交流だけでなく、せっかくインターネットやブログ、という手段があるのだから、学校経営等や自分の理念についても、いろいろとさらけ出し…

◎安曇野地球宿訪問記1、2、3

〇20日から2泊3日で安曇野地球宿を訪問した。 かねてから行きたいと思っていての実現で、幾人かの知人の歓待を受けて、とても素晴らしい時間を持てて、泰子共々とても嬉しかった。また、様々なことを考えさせてくれた。 地球宿での感想を手短にいうと、…

◎人間関係の悩みについて(ある自殺から)

〇自殺について ​ 最近知人から、 身内が自殺して大層ショックだったという話を聞いた。私も「エーあの人が」と聞いて大層吃驚した。 20歳代のころから、何人かの知人が自殺している。そのことも含めて、自分との関係の取り方について考えてみようと、ブログ…

◎東日本大震災後の中学生の育ち(NHKスペシャル「命と向き合う教室」から)

〇命と向き合う教室 昨日(29日)にNHKスペシャル「命と向き合う教室」をみた。『被災地の15歳の1年の記録』というサブタイトルだ。 番組紹介には、「東日本大震災から4年。宮城県東松島市の鳴瀬未来中学校の3年生82人が、1年間かけて授業で「命…

◎桂米朝の死去と立川談志

〇米朝さんも逝ってしもうた 「水仙花談志は死んだ完成す」(詠人知らず) 昨日、桂米朝さんの告別式が行われた。2011年の立川談志に続いての訃報で、私にとっても、貴重な人たちを失ったと思う。 私が落語を聞きだしたのは、1960年代前半の高校生の…

◎奥田知志講演(1)(2)

〇生活困窮者支援制度に向けて 3月21日に、島根県社会福祉協議会の研修会があり、NPO法人「抱樸(ほうぼく)」理事長の奥田知志氏から「生活困窮者における伴走型支援とは」の話を伺った。4月から生活困窮者支援制度がスタートする。それに向けての講…

◎情理を尽くして語る、書く(東日本大震災支援活動記録集から)

〇東日本大震災支援活動記録集から ​ 様々なところから、手紙、メール、機関誌などが送られてくる。私も手紙やメールで交信をしている仲間や知人もいる。今年から個人的にブログも作成し、考えていることなどを発信している。 そのなかで、最近心を動かされ…

◎安心感と信頼感に支えられる

〇 一月半ほど前に妻が帯状疱疹にかかり、疱疹そのものは薄れてきているのだが神経の痛みは消えていなくて、特に仰向けに寝るときに痛みが激しいので、眠りが浅くなるときがあるそうでスッキリしない日が続いている。 診察によると、特に処置はしないでいい…

◎東日本大震災 次代に繋ぐ

〇遺族代表の挨拶から 情報化社会で様々なニュースがはいってくるが、関心の向かないことはすぐに忘れるし、関心を覚えても身近に感じられないと、やがて風化してしまう。 東日本大震災についても、今の暮らし方を見直す座標軸としてとらえたいと思っても、…

◎受容はすべての出発点だと思う

〇思うままにならない苦しみをのりこえて 私たちはさまざまな観念、価値観をもって暮らしている。 何があろうとも、起こってくる感情はそれとして、一端はその状況を受け止め、平静な状態を保つことから物事に対処していけるのではないだろうか。実際の暮ら…

◎ありのままの自分を好きになる

〇自立生活センターの活動に触れて ​「自己肯定感」「自尊感情」について、自立生活センターの動きに触れる。 自立生活センターとは、障害者自らが福祉の担い手として、サービス事業を行うところ。どんなに障害があっても、施設や親の庇護の元で不自然な形で…

◎自己肯定感は自然治癒力を高めるのでは

〇誰でもがもっている自然治癒力 先日のブログに浦河べてるの家の人たちに「自己肯定感」を覚えると書いた。 福祉活動をしてきて、その人に「自己肯定感」「自尊感情」が、根底にあるかどうかが、ケアする、ケアされるときの大きな要となるなと思っている。 …

◎もし それが わたしだったら(内観法から)

〇「時空遍歴」と「内観法」 知人F氏のHP掲載の時空遍歴「いつまで過去にこだわるのか--」に、 ・「後ろ向きに歩みながら、遠ざかっていく<あの景色>をあれこれ考え記述してきた」 ・現在の私は認識の基本軸において、過去は同時に未来および現在であり、…

◎「時空遍歴」を読んで(現在このHPは閉じられている)

〇リンク先のHP「ビジョンと断面」に掲載されている連載「時空遍歴」について「時空遍歴(25)」までを通して読んでみた。(現在このHPは閉じられている) 知人に紹介されて閲覧を始めたHP「ビジョンと断面」だが、最初の頃、小説以外はもう一つ馴染めな…