日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

◎異質なものとの共存(ブレイディ みかこ『他者の靴を履く』より)①

〇人類史において「協力」および「共存」が進化の一つの大きなキーワードになると言われている。それには「共感」によるものだけではなく、異質なものとの共存が大事になると考える。 また、共感による繋がりの危うさも取り上げられるようになった。 多様性…

◎“良心を束ねて河となす”(中村哲のことばから)

〇昨年暮に放送され、昨日再放送があった、Nスぺ「良心を束ねて河となす 〜医師・中村哲 73年の軌跡〜」を再度観る。 番組から、日々触れる人々や自然を慈しみ、そこから醸し出される思いや言動が、あのような偉大なことを成し遂げたことにつながったことが…

◎多元主義と「多一論」(中島岳志×島薗進『愛国と信仰の構造』から)➂

◎多元主義と「多一論」(中島岳志×島薗進『愛国と信仰の構造』から)➂ 第七章「愛国と信仰の暴走を回避するために」では、我が国のネット右翼の台頭や世界各地で進む伝統宗教の復興、宗教ナショナリズム、原理主義が存在感を強めている理由から、違いのある…

◎ユートピア主義と近代科学(中島岳志×島薗進『愛国と信仰の構造』から)②

※中島岳志は、「自力と他力のユートピア主義の間で揺れる近代」で色合いの違う戦前の二つのユートピア主義を取り上げる。 ひとつは、日蓮主義系の超国家主義者のように、社会を宗教的・合理的に設計すれば、理想的な社会が実現できるとする設計主義的なユー…

◎ユートピア主義と全体主義(中島岳志×島薗進『愛国と信仰の構造』から)①

〇中島岳志×島薗進『愛国と信仰の構造』「全体主義はよみがえるのか」を読んで。いろいろと学ぶところが多かった。特に、本書全体を通して「宗教とは何だろう」を考えることになった。対話の二人も「宗教とは何か」の再定義の必要性を述べている。 『ウィキ…

◎孫の成長記録(姉2歳3ヶ月、弟5ヶ月)「わたし」で自分が深まっていく。

〇「わたし」で自分が深まっていく。 お姉ちゃんは行動範囲も広がり、エネルギシュに動き廻り、散らかし方もますます派手になる。 ことばも増え、自己主張が非常に強くなり、自分の思いを伝えたいという欲求も高くなって、「いや」という否定もはっきりいう…

◎もうろくの冬から(鶴見俊輔『敗北力』を読む)

〇『敗北力−−Later Works』は、2015年7月、93歳で死去した哲学者、鶴見俊輔さんの遺著ともいうべき本。 「Later Works=レイター・ワークス」は鶴見さん自身が書き留めていた言葉で「晩年の作品集」という意味合いになるのか。文芸評…

◎書評:増田望三郎(著)『安曇野で夢をかなえる』(安曇野文庫 Kindle版、2018)

〇我が家感覚のゲストハウス・安曇野地球宿の主宰として、市民共感の市政をしている安曇野市議会議員として、意欲的な社会活動を展開している実践者として、常々注目している増田望三郎氏の自伝『安曇野で夢をかなえる』を、この正月に読んだ。 本書は2016年…

◎2021年年頭に当たって、(「老い」や「病」と向き合う)

みなさま明けましておめでとうございます。 今年もよろしくお願いいたします。 ------ 〇病気の現状 2019年10月、脊髄小脳変性症と診断され、3週間ほど入院した。 その後の状況をみると、ますますひどくなりギクシャク度は増していて、ふらつきも頻度…

◎孫の成長記録(姉2歳2ヶ月、弟4ヶ月)コミュニケーションの基本。

※〈教育やケア(子育てや介助・介護)は、その相手である一人ひとりの思いに濃やかに耳を傾けることからはじまり、また相手がいつの日かみずからの足で立つ、みずからをたてなおすのをじっと待つ、ということがとくに大きな意味をもついとなみである。〉(鷲…

◎〈対話〉の可能性(鷲田清一「ひとを理解すること」から)

〇先日掲載した、平田オリザ『対話のレッスン』の「二一世紀、対話の時代に向けて」で次のように述べる。 〈二一世紀のコミュニケーション(伝達)は、「伝わらない」ということから始まる。……対話の出発点は、ここにしかない。 ・私とあなたは違うというこ…

◎共同性と共同幻想(鶴見俊輔と吉本隆明の対話などから)

〇ひとは他者との相互依存でなりたっている。「わたし」の生も死も、在ることの理由も、他者とのつながりのなかにある。 また、ひとりでは生きていけない人間は、さまざまな人間とコミュニケートしながら社会をつくる。 最近の進化生物学は、ヒトは同胞とと…

◎他者の異質性を尊重する社会(中島義道『「対話」のない社会から)

〇中島義道『「対話」のない社会―思いやりと優しさが圧殺するもの』を読む。 第1章「沈黙する学生の群れ」で、「何か質問は?」と教師が語りかけても沈黙を続ける学生たちなど具体的なご自分の体験の事例をあげ、第2章「アアセヨ・コウセヨという言葉の氾濫…

◎「対話的な学び」に必要なもの(平田オリザ『対話のレッスン』から)

〇『対話のレッスン』は平田氏のコミュニケーション論のエッセンスを書き綴った1997年から2000年までの連載記事である。 縦軸に演劇論を展開し、横軸に「対話」の構造、「会話」との違いを述べ、日本人には欠落してと思われる「対話」のあり方を探っ…

◎『みんなの介護』の「内田樹『賢人論・第90回』」

※インタネットでよく参照するサイトに『最新の社会保障・介護関連のニュースを配信している「みんなの介護』がある。 その中の「賢人論」も時折読んで、いろいろ参考にしている。 案内によると《「賢人論」は、「みんなの介護」がお送りする特別インタビュー…