日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

◎熊本地震から1年たって

〇『熊本地震2016の記憶』から 熊本地震から一年たち、ここ数日各種報道による様々な声が発信されている。車中泊などで直接死よりも関連死の方が多いという特異性があるなど、その困難さが伝わってくる。 一方、次から次へと起こってくる様々な情報のなかで…

◎不慮の出来事の受容について

〇人生が何を私たちから期待しているのか ・はじめに 最近、知人の訃報が続き、親しくしている人の急遽入院されたとの連絡を受けることがあった。 私は、特に身体に関して妙な違和感を覚えることが多くなり、「老い」や「死」について考えることも度々おこる…

◎叔母の死に触れて、戦争のこと

〇叔母の死 3月10日に叔母が亡くなり、すぐに叔母の家にかけつけ、拝ましてもらう。普段からこぎれいな方であり、穏やかな寝顔でやすらかな感じがした。死因は急性心臓病、享年84歳。 教職退職後、しばらくして社会福祉法人「放泉会」に関わり、その中…

◎「責任」とはなんだろう。(認知症事故賠償訴訟に触れて)

〇「認知症事故賠償訴訟」の判決について 平成19年、愛知県大府市のJR共和駅の構内で、認知症の91歳の男性が電車にはねられ死亡した事故で、JR東海は振替輸送にかかった費用などの賠償を求める裁判を起こし、1審と2審はいずれも家族に監督義務があ…

◎生きていることをうしろから見ていく視線(福島智の論考などから)

〇自らの背中を見つめる 能の世阿弥の言葉に、自分の姿を左右前後から、よくよく見なければならないという意の「離見の見」がある。自分の演じている姿を見る者たちのうちにおいて、よくよく見てみなければいけないという。実際には、眼は自分の眼をみること…

◎人間に適った地域包括ケアシステムの構築について

〇知人Kさんの投稿から 最近、知人Kさんの、80歳前後の両親の今後についての思いを綴ったFacebookへの投稿があった。 それに対し、様々な方からご自分の体験などを交えてのコメントが続いている。 私も、このことはKさんだけでなく現在の高齢社会の課題…

◎「老い」のイメージ(向老の記)

〇〈老い〉や〈高齢社会〉について現時点(今年70歳になり向老期として見ている)で思うことを綴っていこうと考えている。 現在は見方が少し変わってきているが。以前、高齢者の介護活動や義父母をみとるなかで、「老いる」とは、どういうことなのかについ…

◎ささやかな満足を

〇新春に描く 正月に、現状の自分について見直したり、これからのことなど考えてみたりした。 エリック・ホッファー『波止場日記』(田中淳訳、みすず書房)の、次の文章が好きなのでそこから見ていく。 〈世間は私に対して何ら尽くす義務がない、という確信…

◎2016年を振り返って

(12月29日) 今年7月に起こった相模原市の障害者施設殺傷事件は、障害者へのヘイトクライム(差別・憎悪の犯罪)だとの見方が広がっている。ほとんどの事件はその特異性とともに社会状況が反映しているが、とりわけ大きな社会的問題を孕んでいると思ってい…

◎重松清『赤ヘル1975』と戦争・原爆の語り継ぎ

〇重松清『赤ヘル1975』を読む 大のカープファンで、リーグ優勝が現実のものになりはじめてからソワソワする日が続いて、優勝が決まって取りあえずホットしている。 小学生の頃、父に連れられて試合をみに後楽園、駒沢、神宮などによく行っていた。父は今の…

◎「いるだけでいい」と言い切れる〈ひと〉に

〇相模原・障害者施設殺傷事件に触れて それを知人から知らされたとき、「なんて酷いことをするのだ」というような思いが出てくる。その後のニュースや知人の話から、犯人の「重度の知的障害者や重複障害者は1人で生きることができず、税金で養ってもらって…

◎石原吉郎に関する各種論考から

〇「私は告発しない、ただ自分の〈位置〉に立つ。」 最近、ある関心から石原吉郎関連の本を読むことが多い。その中で、石原の信念ともいえる「〈告発の姿勢〉や〈被害者意識〉からの離脱、断念」に、思うことがある。 折々、私は実顕地のことについて書いて…

◎〈体験〉そのものの体験(石原吉郎のエッセイなどから)

〇体験から追体験をへて身についた経験へ 最近、コミックエッセイ『カルトの村で生まれました』や、そのことも含めてその時期の実顕地のことについて、知人や元学園生、家族などと話し合ったり、自分のことをふりかえったりする。 また、これまでも人の体験…

◎一人ひとりの〈生〉に寄り添って(石原吉郎の論考などから)

〇私的体験と計量的発想法 先日、交流している福島の友人Sさんと話す機会があった。東日本大震災のことに話が及ぶ。 復興についてはまだまだなこともあるが、そうじて現象的には落ち着いてきているのではないかと仰っていた、 Sさん一家は大震災のただ中に…

◎信念と態度について

〇昨日(17日)は誕生日で69歳になる。その日は、マスコミでは舛添東京都知事の辞職とイチロー選手の安打記録の話題が盛んだった。そのことに関連して〈信念と態度〉のことを考えた。 ここでいう〈信念〉とは、意識的・無意識的にかかわらず、ある考え方を「…