日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

◎ささやかな満足を

〇新春に描く
 正月に、現状の自分について見直したり、これからのことなど考えてみたりした。

 エリック・ホッファー『波止場日記』(田中淳訳、みすず書房)の、次の文章が好きなのでそこから見ていく。
〈世間は私に対して何ら尽くす義務がない、という確信からかすかな喜びを得ている。私が満足するのに必要なものはごくわずかである。一日二回のおいしい食事、タバコ、私の関心をひく本、少々の著述を毎日。これが、私にとっては生活のすべてである。〉

 

 要点は、世間からなんの見返りを求めず、美味しい食事、趣向・遊び心、様々な見方・人との出会い、書くことで自分を見てみる。となる。
 家族、子どもなど一緒に暮らしている人がいる場合、もっと考えていく要素もあるが、個人レベルで生活していくときの大事なポイントのいくつかが簡潔に書かれていると思える。

 ホッファーの言葉に照らして、今の私の生活に引き付けてみた。
・美味しい食事。妻の料理が気に入っていること。移住する前の自家用野菜作りから離れたのは惜しいが、知人や地元からの丹精をこめた食品などを取り寄せたり購入したりして毎日美味しくいただいている。

・趣味・趣向などの遊び心。俳句に興味があり、思いを五七五にまとめるのが面白く、他の人の作句を読むことも楽しい。後で手直しや削除することも多いが、まずは詠んでメモやFacebookに記録している

・様々な見方や人との出会い。各種著述に触れて関心がわいたり、自分に引き付けて考えてみたりすることもある。また、家族や友人・知人との交流、メール交換やブログなどに触発されるようなことも多い

・漠然と思っていることを書くことで、ある程度自分の見方や感じ方を整理することができる。自己慰安や自己治癒的な面、自己内対話の要素もあるだろう。また、他の文章を紹介、引用することの大事さも感じる。

 

 書いて整理してみると、それなりに実現していこうとしているし、身体について思うことは多少あるが、これが継続していれば「いいね」としたい。共に暮らしている妻も含め、いろいろと恵まれているようにも思う。

 だが、災害、人災あるいは大きな病気などに遭遇したらそれどころではなくなるかもわからないが、徐々にではあるとしても、立ち還っていくときの大事にしたいことは、このような暮らし方にあると考えている。

 もちろん、人によってポイントは違ってくるだろうが、共通した要素もあるような気がする。
 願わくは、自分だけではなく身近な人たち、友人・知人たちにも、このようなささやかな満足の及んでいくことを望み、ともに暮らしている人をはじめ、環境や社会に及んでいかないとひょんなことから崩れていくことになるので、社会のあり様へと広がっていく。

 まずは、足元からじっくり見つめることをしていきたいと思っている。