日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

おぐらやま農場の「シードル」(りんご果実酒)について‘(たまゆらの記69)

〇年間会員になっている「おぐらやま農場」からブルーベリーが送られてきた。品種は主にブルークロップ。ブルーベリーには抗酸化物質のポリフェノールの一種であるアントシアニンが豊富。酸味と甘味がほどよく、毎食後に数粒いただいている。

ブルーベリーに限らないが、ここの果物は年々美味しくなっていて毎月楽しみにしている。

 

2025年の6月から農場のラインアップに「シードル」(りんご果実酒)が加わった。

シードルは「りんごのお酒」。アルコール分6~7%ほどの優しいタイプの果実酒で、日本ではまだ知名度が少ないが、欧米では食文化に根付いているという。

年間会員用のニュースレター6月号に、この農場ならではの紹介記事が掲載されている。

 

〈今回のシードルは、「19年間無施肥栽培」「化学農薬散布は当地標準使用量の15%以下」「土壌環境を健全にする草生栽培」など可能な限り健康で安全でいられる果樹園環境を目指す中で出てくる加工用のリンゴをどうしていこうか? ということから はじまりました。

スーパーなどには並ばないようなりんごたちもたくさん収穫できます。安易にそれを廃棄してしまうことはできませんでした。寒い冬も手を凍えさせながら剪定作業をしてくれるスッタフさん、そして今は摘果作業の農繫期真っ最中ですが、ひとつひとつがしっかりと大きく育つよう日々畑でたくさんの方が関わってくれています。

雨がよこなぐりの日も、風がビュービューと吹く日も、夏の40度近くの炎天下でも農作業をし、収穫までこぎつけます。通常のりんごと変わらぬ手をかけてきたりんごたちです。

ただ、直前に枝に当たったり、キズ、変形、極小サイズ、着色不足などの理由で加工用になってしまいます。それらを捨ててしまうのはやっぱりできないんですね。そこまでは通常のりんごと同じように手をかけていますから。

今まではジュースやジャム、そしてドライフルーツという形でお届けしてきました。ただ、これからの生産量を考えると他の方法はないのかと考えていました。そんな中生まれたものが「シードル」です。(ニュースレター6月号より)》

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市場の動向に左右され「需要と供給のバランス」や「生産調整」などの名目で数多の農産物が廃棄されていると聞いている。

農の営みというとき、それは経済的、産業的範疇としての農業をはるかに超えて、すぐれて人間的、社会的、文化的、自然的な意味をもつ。

農の営みは、人間が生きてゆくために不可欠な食糧を生産してきた。

 

「おぐらやま農場の原点」には次のようなことが書かれている。

・僕たちのねがいに「ひとのいのちに責任の持てる食べ物をつくりたい」ということがあります。

・食べる人と作る人とが心をつないでいける関係を築いていけないかとの試みが僕たちの手がけていることです。

・農業という営みが内包する無限の豊かさ、農村風景の持つ素朴な魅力、自分のいのちをつなぐ食べ物に積極的に関われる喜び、そんなことを感じあえる仲間の輪が広がっていくことを願っています。

 

この原点をこころに抱きながら日夜励んでいることが、生産物や農場便り・ニュースレターなどから伝わってくる。