○この時期は桜見物によく各所に出かけていたが、今は体のこともあり出かけることはできない。
それでも居宅のあるマンションの廻りやリハビリ施設の送迎時に桜の様子を見ることができ、それはそれで楽しい。
春に咲く桜の花芽は、前年の夏に形成される。
その後、生成されることなく「休眠」という状態になる。休眠した花芽は秋から冬にかけて一定期間、低温にさらされることで、眠りからさめ開花の準備を始める。これを「休眠打破」という。
そして春をむかえ、気温が上昇するにともなって、花芽は成長「生成」する。気温が高くなるスピードにあわせて、花芽の生成も加速する。生成のピークをむかえると「開花」することになる。
このように、桜の花芽の「休眠」・「休眠打破」・「生成」・「開花」は、秋から冬にかけての気温と春先の気温に、大きく関係している。冬のない常夏の国では、日本の桜のように美しく咲かない。桜は、四季のある日本の国で特化した植物だともいわれている。
桜に限らず植物は、光、土、気温、風土、生態系などなど、様々な影響を受けながら、そのものが本来持っている持ち味で育っていく。
また人為的なものを加えられた植物は、長い歳月の間に、人為的な掌も添えられながら、自然の懐に育まれて、環境・生態系に適応するように育て上げられてきた。
花の開花はその一端を見せているだけで、時空の恵を束ねたいのちの精髄で花を咲かせ、幹をふくめた全身でその花びらの色を生み出している。
私たちは表面に現れた現象によって判断しがちであるが、ほとんどのものごとは、その背後の様々な要因が絡み合って成り立っている。今自分が見えていることが、実のところどのような要因から生じているだろうかと意識化していくことで、その見え方、感じ方の深みが増してきたり、全く違った見え方になったりするのだろう。