日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

◎文化の日とノーベル平和賞受賞関連の短歌(たまゆらの記58)

○11月3日の朝日歌壇に「被団協」のノーベル平和賞受賞関連の投稿がいくつか選ばれていた。

その中で、「★受賞より核廃絶を待ち望む被爆者の顔深き皺よる(つくば市、山瀬佳代子)」が、選者三人(馬場あき子・ 高野公彦 ・永田和宏)の共選となった。

 

数多くの投稿とそれぞれの選者の個性の違いによることもあり、三人の共選は珍しいことだ。

今回はノーベル平和賞関連の投稿の選が多く、選者の永田氏は【評】で次のことを述べる。

 

〈今年度のノーベル平和賞に日本被団協が選ばれたことは大きなニュース。だが、誰もが諸手を挙げて喜べないのも事実。唯一の戦争被爆国である日本政府が核兵器禁止条約を批准しないという自己撞着。これを機に改めて真剣に考えたい。〉

 

いくつか印象残ったノーベル平和賞関連の短歌から。

★被爆者の証言こそが「ノーベル賞」一万二千発ひそむ地球に(安中市)鬼形輝雄。

★なんかちっと違うんじゃないかと思う被団協へ「おめでとう」って(焼津市)池田謙一郎。

★核禁条約批准せぬ国の被団協に平和賞このねじれ哀しも(船橋市)佐々木美彌子。

★国連でノーモア・ヒバクシャ訴えし山口仙二に届けよ受賞(東京都)漆原淳俊。

 

朝日歌壇に限らず、時々のニュースに様々な反応があり、短歌ではいろいろ詠まれているようだが、それに比べると17音の「俳句」では、その特質もあるのか少ないようだ。

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11月3日ということで、文化の日について少し調べた。

1946年11月3日の日本国憲法公布を記念して制定された文化の日を「自由と平和を愛し、文化をすすめる」と説明し国民の祝日にしている。

 

文化について、日本国語大辞典は次のように解説している。「自然に対して、学問・芸術・道徳・宗教など、人間の精神の働きによってつくり出され、人間生活を高めてゆく上の新しい価値を生み出してゆくもの。」

朝日歌壇のノーベル平和賞受賞関連の投稿からも、今の社会状況は「文化」からかなり違ったもののようだ。