日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

◎一人ひとりに寄り添って(たまゆらの記㉗)23/1/25

○今の病状

脊髄小脳変性症と診断されてから3年以上経過した。

身体のギクシャク度はますます嵩じている。寒さもあり、身体が固まって動きが悪い。

これまで冬の寒さはそれほど気にならなかったが、昨日、今日の寒さは堪える。現在の大きな課題として就寝中のトイレがある。

 

しばらく排尿日誌をつけはじめ、いくつか対策を考えた。昼間は7~8回。就寝中は8時間睡眠の内、平均して2~3回ほど。難病によりふらつきがあり転倒しやすいのと寝起きはどうしても気が緩みがちで、慎重に動いているが不安である。

 

いくつか調べて次のことを思った。

特に膀胱関連の病状はなさそうで、取り組みとして出来る限り膀胱に尿をため、出すときは残尿が残らないよう全部出すようにするなど、膀胱の機能を充分に活用することを意識する。

そして身体を冷やさないこと。身体が冷えると、血管が縮んで血流が低下するため、膀胱の血流も低下する。すると、膀胱は正常な働きができなくなり、本当はもっと尿を溜めておくことができるのに、トイレに行きたい信号を発してしまう。このことは夜具や夜着にも気をおいて置く必要もある。

 

〇中井久夫「個人症候群」という概念

精神科医の中井久夫氏は治療において、長年の研究で標準とされている「普遍症候群」、その地域の土着的な文化と深く結びついている「文化依存症候群」に加えて、ある個人にしか該当しないような精神疾患として「個人症候群」という概念を提示した。

 

これは精神疾患治療における見解だが、精神疾患に限らず一人ひとり特有の、あるゆる疾患に当てはまる概念だと思う。

 

脊髄小脳変性症に関して一応難病とされているが、どのような症状でどのように対処するのがいいのかはある程度共通の方式がある。

3か月後毎の定期診断で、主治医は一応私の現状を聞くが、調べ方・検査方式は一様で、それ用の薬を処方する。あまり悪くなっていないと言うが、私の実感とは違う。

だが、15分ほどの検診でそれほどのことが分かるわけではなく、仕方ないとも思う。

 

昨年から訪問看護と要支援対象のリハビリ施設を活用している。

リハビリに関しては一人ひとりの身体状態に合わせた方式をとらないとリハビリにならない。

むろん担当者、理学療法士もそれぞれのリハビリテーション方式があり、違っていて当たり前であり、それも面白いが何処までも個々の状況に合わすことが基本となる。

 

訪問看護は1対1で、私の身体状態や日々の体調状態で対応していて、私特有の身体の動かし方、癖なども考慮しながら対応してくれるのを感じてとても参考になる。

要支援対象のリハビリ訓練では、7、8人程の対象者を3グループに分けてリハビリ訓練をしていて、ほぼ共通の方式をメインに、一人ひとりの状態に合わせた練習も意識しているように感じている。

 

テーマは広がるが、何事も一人ひとりの〈生〉に寄り添った方式、見方が基本となると思う。

※中井 久夫著『治療文化論―精神医学的再構築の試み』(岩波現代文庫、1990)