日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

◎難病を抱えて、今思うこと

〇脊髄小脳変性症の診察を受ける。

 昨日、寒波南下で今冬一番といわれている寒さの中(神戸2℃)、退院後3ヶ月目の脊髄小脳変性症の診察を受ける。来る途中風がとても強く、揺らされながら病院にたどり着く。風花が舞っていた。

 この総合病院はかなり大きく、いつも大勢の人が寄っている。むろん老若男女さまざまだが、付き添いも高齢化している人も目立ち、現日本の高齢化社会の縮図のようだ。新型コロナウイルスの影響かマスクをしている人が多い。

 私も1週間前に風邪をひき、熱もなく2日でかなりおさまったが、まだ少し尾を引いていて、漸く手に入れたガーゼ用マスクをつけた。

 診察では、主治医の見立てでは、症状はあまり変わっていないという。

 私自身は坂を下るときに、特にぎこちなくなるのは大部前からだが、だんだんちょっとした勾配でも、妻に支えられて歩くようになった。

 私の中では「下り坂」の歩行状態が病状の具合の目安になっている。徐々に劣化が進んでいるようだ。今後どうなっていくのか。

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 その前日に、50歳代の友人IさんがALS(筋萎縮性側索硬化症)で2週間ほど入院するとの連絡があり、ビックリし、家族や今後のことを気になり、いくつか思うことをメールで伝えた。

 私は50歳を過ぎてから、病院併設型の筋ジストロフィー症やALS(筋萎縮性側索硬化症)など肢体不自由者・児が多くいるS市の養護学校(現・特別支援学校)で、支援ボランティアグループを立ち上げ、要請を受けて非常勤講師をし、病棟に出向いての訪問教育もしていた。かれこれ13年程前になる。学校や病院にはいろいろな方がいて、そのときのことを思い出していた。

 Iさんは絵の才能が豊かで入院中描いた絵は愉しい。また人徳があり、一緒に親身になって考える仲間に恵まれているのは心強い。

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 ここにきて自分が難病を抱え、〈障がい者〉と〈健常者〉の垣根をなくす理念の高次脳機能障がい支援『アイズ』に関わるようになる、という巡りあわせが続いている。

 

 このような状態で、特に次のことに気をおいていきたいと思っている。

 一つは、今の自分の状態を冷静に見つめ状況に対応する客観力が必要ではあるが、出来なくなることに捉われず、どのような状況になろうと、今やれることに心をおいていくこと。精一杯の力を注ぐこと。

 もう一つは、人生を「できる」ということからではなく、「できなくなる」というほうから見つめてみること。もっと違ういのちの光景が眼に入ってくるのではないだろうか。