〇知人のkさんがFacebookに転載してくれる新間草海氏のブログ記事を楽しみにしている。今回のタイトルは「故・佐々木正美先生のこと」
今年の6月に、児童精神科医の佐々木正美先生は亡くなられた。
新間氏は「中心子どもの家が主催する講演会、勉強会に何度も参加し、お話を聞いた。」という。
ブログは佐々木先生に対する新間氏の思いが巧みに描かれていて、佐々木氏の人柄も彷彿とさせるものだ。
以前、私は病院併設の養護学校に関わっていた時、『子どもへのまなざし』『育てたように子は育つ』などを読んで共感し、仲間と話題にすることもあり、佐々木正美さんのことなど、当時を思い出した。
新間氏は佐々木正美氏の言葉から、「子どもを救え」の題目のメモにしてブログに載せている。
その中で次の表現に特に感じるものがあった。
〈発達障害の子が大好きだ。正直だ。うそがつけない。
思い、イメージで生きていない。事実で生きている。だから、非常に鋭敏で、そのまんまで、率直に生きている。率直に生きるのが難しいのが、今の社会だ。〉
「うそがつけない」との言葉に、立ち止まった。
「うそをつかない」と「うそがつけない」は随分違うと思う。次元が違うような気もする。
「うそがつけない」とはどのような心なのだろう?
他にも、新間氏のメモには、ともに考えていきたいことが詰まっている。
〈大好きで、安心のできる人、お母さんと、いっしょに話しをしている。そのことで、子どもの前頭前野はすばらしい働きをする。脳を高度に活性化させることができるのは、その人が、心を許し、安心し、なにかを託すことのできる人と、共に、コミュニケーションをとる姿の時。それなのだ。〉
〈何よりも、不安の無いこと。安心できること。子どもだけではない。大人も同じ。発達障害の濃い薄いではない、あるない、ではない。どの人も心から、周囲の人間社会に対して、安心していること。今の自分をとりまく人間関係に、信頼をおいていること。不安のないことが、もっとも大事なこと。それが、一人ひとりの力をいちばん発揮させる。心が通えば、表情が明るくなり、健康になり、意見が出て、人が能力を出し始める。〉
次に、私の養護学校時代に共鳴した、相田みつをさんの「そのままで いいがな」に、佐々木正美先生が推敲した文章から一部抜粋してみる。
〈これこそ、子どもへの最高の愛情の表現である。すなわち無条件の承認である。条件をつけない愛情である。こういう愛情が与えられれば、子どもは必ず生まれもったものを豊かに開花する。〉
〈子どもが、自分のことを好きになれるように育ててやりたい。それもできるだけそのままで。ありのままの自分を好きになれるように。だから「そのままで いいがな」と言ってやりたい。人生の最初から言い続けてやりたい。〉(『育てたように子は育つ』相田みつを書・佐々木正美著、小学館、1999)