日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

◎身体をむしばむ思い込みやゆがんだ健康概念

〇糖尿の薬をやめてみる
​ 私の身体を心配した娘から、それについての研究、仕事をしているM氏を紹介された。その方は、病院のリハビリ指導を経て接骨院を立ち上げ、現在はボクサーのトレーナなどをしながら、体の研究に励んでいるそうだ。
 昨日、いろいろな相談も交えて、マッサージをしてもらい身体の状態を見てもらった。
 そのときの話が面白く、今後の身体に関する考え方の参考になるので。記録しておく。

 

・私の現状
 15年程前の定期検診で、血糖値が高く糖尿病だということで、医者の勧めにより服薬することになり、その後、各種情報に触れても。糖尿病は運動、食事のほか、服薬を続けることが大事であるといわれていて、当たり前のように、まじめに服薬し続けた。それまでは、薬に感じていたイメージから風邪などにもほとんど使ったことがなかったが。(※毎食前に血糖急激吸収抑制剤のボグリボースOd錠0,2mgと1日1度インスリン分泌促進のグリメビリド錠0,5mg。)
 日本糖尿病協会の血糖コントロール指標によると大体「良」の範囲でおさまっているので、医者からはこの状態を続けるようにいわれ、私も安心の目安にしていた。

 M氏は、薬で糖尿病が治ることは、聞いたこともないしあり得ないことで、むしろ飲み続けることで、それがないとそのような身体になってしまうし、抑制効果も薄まっていき数値に頼っていると、医者からはより強いものを勧められることになる。という。

 身体の状態を確かめてもらい、薬に頼ることをやめにして、食事には神経質にならない程度に注意しながら、運動それも無理がないところで、歩くことを意識して続けていって下さい。とアドバイスしてくれた。

 あと、どうするかは私の判断である、結局その日からM氏の見解に促されて、ある種のためらいを覚えつつ、その方が面白いのではないかなと思い、薬をやめてみることにした。その見解が適切かどうかは分からないが。
その後の経過を見ながら、身体の状態に向き合いながら、随時考えていこうと思っている。

 

 そのことで思ったのは、自分の身体の声にじっくり耳を傾ける、疑う、調べる、よく考えることをせずに、各種情報に踊らされて、鵜呑みにしていた部分もあるなと痛感した。

 それに関しての溢れるような情報の中でも、注意を払えば、その人の見解に対する距離のおきかた、疑いの余地などにより、耳を傾けたくなるかどうかは、文体や言葉の使い方に現れてくるので、ある程度はより分けることができるのではないだろうか。

 医学的な知識は乏しいし、身体のことばを聴く感度もずいぶん鈍っているとは思うが、直観的なものを駆使して、人の身体とはどういうものか、薬で健康を保つとは、一体自分は何をしようとしているのかなど、きちんと向き合ったかどうかが心もとないのである。

 

・妻の現状
 7年程前から妻は血液中のコレストロール値が高いことから、医者に勧められて、一日一回リバロ2mgを服薬していた。その後やめてみたこともあるが、数値が上がるので、結局飲み続けることになる。医者からは、この薬は軽いですから心配しないようにといわれ。

 今年の2月に帯状疱疹にかかり、一時は大変な状況になった。一応その状況は乗り越えたが、お腹などのピリピリ感がとれなく、寝られない日もあったりして、比較的丈夫な妻も長期にわたって不安が続いた。
 その間、何度か医者通いになり、検査により委縮性胃炎、ヘリコバクター・ピロリ菌によるなどの疑いありと診断され、その都度、薬を処方された。
 また睡眠剤、精神安定剤として、デパス錠0.5mgをもらい、それを飲むと良く眠れると喜んで、人にも勧めていた。

 妻の身体を見てもらってからのM氏の見解では、60代後半の身体としては、驚くほどいい状態で、何も問題を感じませんと言われ、またそのような薬を飲み続けていることが、帯状疱疹の悪化にも影響しているかもしれませんなどともいわれる。

 大体、コレストロールは低いことが問題で、妻のような数値では全く問題にならないそうである。睡眠に関しては、眠くなったら寝たらよいので、寝られないときは、本などを読むとかしたらよいです。生活習慣を見直したらよい場合もあるが、薬などで睡眠障害を解決するのは、気休め以外の何ものでもありません、とアドバイスされる。

 それ以来、私とは違って、ためらいも一切感じさせずに、薬を全部放して、毎晩ぐっすり寝込んでいる。

 

・最近私は、下り階段などで、極端にぎこちない状態になり緊張する。以前、足を踏み外して怪我をした。それ以来、よろけたりして、足元がうまく収まらなくなり、だんだん緊張の度合いがひどくなった。

 M氏にみてもらったところ、足腰の筋肉の衰えはあるにしても、怖いという観念が邪魔をして、体が硬くこわばっていてまっすぐ歩いていないそうだ。普通の下り階段は問題ないと思う、と言われ、私もそのように感じていて、言われてみてもっともなのだが、だんだん意識して慣れてはきたが、やはり緊張がほぐれないのを自覚する。

 このことから、他のことについても、私自身のものごとのとらえ方にも当てはまることもあるのではないかと思っている。
 頭では理解しているつもりでも、実際のところ身についていないことが、沢山あるような気がしている。自覚していればまだしも、一度見についたゆがんだ観念を治していくのは、なかなか容易ではないこととも思っている。

 M氏によると多くの人が、ゆがんだ情報の過多による、健康概念そのものがゆがんでいたり、思い込みがあったりして、体そのもののもっている賦活力を削いでいるという。

 M氏との話し合いから私は、さらに、西洋近代科学の産んだ西欧医学の大きな影響などによる医療体系そのものが病を生み出すシステムなっているのではないかとも思っている。