日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

◎遠回りすることが一番近道(イチロー選手引退に思うこと)

〇イチロー選手の魅力は、その実績以上に、常に理想を追求し、努力を積み上げていく“生き様”、最後まで挑戦を続ける求道者としての姿だ。

「過去も未来も、いまここにしかない」と現在自分のやれることを精一杯生ききり、その積み重ねが明日につながるとのスタンスに魅力を覚える。その一区切りとして、プロの現役野球選手としては引退することを決めたということだろう。これからどのような人生を歩むのか、楽しみにしている

 イチロー選手のその都度の話しの内容に面白味を感じて、自分にも引き付けて考えてきた。その中から身近な語録をあげてみる。

 

・〈失敗をしないでたどり着いた人と全くミスなしで間違いなしでそこにたどり着いたとしても、まあつけないですけど。 そこにたどり着いたとしても深みは出ないですよ.

単純に野球選手としての作品がいいものになる可能性は、可能性ですよ。僕は無いと思います。

 やっぱり遠回りってすごく大事。僕の中で、無駄なことって結局無駄じゃない。でも今やっていることが無駄だって思ってやっているわけでは無いですよ。無駄に僕は飛びついているワケでは無いですよ。 後から思うとすごい無駄だったってことはすごく大事なコト。 合理的な考え方ってすごく嫌い。遠回りすることが1番近道だと信じてやっています。〉

(イチロー選手×稲葉篤紀さんの対談から)

 

 失敗や無駄だと分かったとき、そこから学びほぐして、まちがいからエネルギーを得て次に生かしていく。それがどのような今につながっていくのかを見ていきたい。自分のことも他者のことも。

 また、自分の過去の経験・記憶などを振り返り、それが自分の人生にとって何であったのかを見つめなおし、それを分析して、あれはどういうことだったのだろうと、今に活かすのは大事なことだと思っている。

「やっぱり遠回りってすごく大事。」「合理的な考え方ってすごく嫌い。遠回りすることが1番近道だと信じてやっています。」などの言葉も面白いと思っている。

 

 ネットで検索するとイチロー選手の名言が記録されている。自己のノートからいくつか挙げてみる。

 

・〈(身体作りに関して)持って生まれたバランスを崩しちゃダメ。人体を理解することが一番。本来のバランスを崩しちゃダメ。頭でっかちになる傾向はありますよね〜

「感じる」ことと「考える」ことは同時にできないから、頭を使えば使うほど、「感じる」ことから遠のいてしまうのです。目に見える部分しか言えない人が多い。

自分の持って生まれたバランスを崩してはダメ、トラとかライオンはウエイトトレーニングしない、人間知恵があるからいろんなコトやっちゃうんです。本来のバランスを保ってないと。〉

 

・〈バットの木は、自然が何十年も掛けて育てています。僕のバットは、この自然の木から手作りで作られています。グローブも手作りの製品です。一度バットを投げた時、非常に嫌な気持ちになりました。自然を大切にし、作ってくれた人の気持ちを考えて、僕はバットを投げることも、地面に叩きつけることもしません。プロとして道具を大事に扱うのは当然のことです。〉

  

・〈「苦悩というものは、前進したいって思いがあって、それを乗り越えられる可能性のある人にしか、訪れない。だから苦悩とは飛躍なんです」

・「やってみて「ダメだ」とわかったことと、はじめから「ダメだ」と言われたことは、違います。」

・「大切なのは、自分の持っているものを活かすこと。そう考えられるようになると、可能性が広がっていく。」

・「僕はいつも一生懸命プレーしていますが、今日はよい結果が出なかった。でも、だからといって後悔もしていないし、恥ずかしいとも思っていません。なぜなら、できる限りの努力をしたからです」

・「自分のできることをとことんやってきたという意識があるかないか。それを実践してきた自分がいること、継続できたこと、そこに誇りを持つべき」〉

 

(引退会見から印象に残ったことば)

・〈「アメリカに来て、メジャーリーグに来て、外国人になったこと、アメリカでは僕は外国人ですから。このことは、外国人になったことで人の心を慮ったり、人の痛みを想像したり、今までなかった自分が現れたんですよね。この体験というのは、本を読んだり、情報を取ることができたとしても、体験しないと自分の中からは生まれないので。」

・「本来は野球というのは……、ダメだな、これを言うと問題になりそうだな。うーん、頭を使わないとできない競技なんですよ、本来は。でもそうじゃなくなってきているというのがどうも気持ち悪くて。ベースボール、野球の発祥はアメリカですから、その野球が現状そうなってきていることに危機感を持っている人がけっこういると思うんですよね。

 だから、日本の野球がアメリカの野球に追従する必要なんてまったくなくて、日本の野球は頭を使う面白い野球であってほしいなと思います。アメリカのこの流れは止まらないので。せめて日本の野球は決して変わってはいけないこと、大切にしなければいけないことを大切にしてほしいなと思います」〉