日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

◎日々彦「詩句ノート」、さだまさし作詞・作曲『風に立つライオン』

〇さだまさし作詞・作曲『風に立つライオン』

突然の手紙には驚いたけど嬉しかった

何より君が僕を怨んでいなかったということが

これから此処で過ごす僕の毎日の大切な

よりどころになります ありがとう ありがとう

 

ナイロビで迎える三度目の四月が来て今更

千鳥ヶ淵で昔君と見た夜桜が恋しくて

故郷ではなく東京の桜が恋しいということが

自分でもおかしい位です おかしい位です

 

三年の間あちらこちらを廻り

その感動を君と分けたいと思ったことが沢山ありました

 

ビクトリア湖の朝焼け 100万羽のフラミンゴが

一斉に翔び発つ時 暗くなる空や

キリマンジャロの白い雪 草原の象のシルエット

何より僕の患者たちの 瞳の美しさ

 

この偉大な自然の中で病いと向かい合えば

神様について ヒトについて 考えるものですね

やはり僕たちの国は残念だけれど

何か大切な処で道を間違えたようですね

 

去年のクリスマスは国境近くの村で過ごしました

こんな処にもサンタクロースはやって来ます 去年は僕でした

闇の中ではじける彼等の祈りと激しいリズム

南十字星 満天の星 そして天の川

 

診療所に集まる人々は病気だけれど

少なくとも心は僕より健康なのですよ

僕はやはり来てよかったと思っています

辛くないと言えば嘘になるけど しあわせです

 

あなたや日本を捨てた訳ではなく

僕は「現在(いま)」を生きることに思い上がりたくないのです

 

空を切り裂いて落下する滝のように

僕はよどみない生命(いのち)を生きたい

キリマンジャロの白い雪 それを支える紺碧の空

僕は風に向かって立つライオンでありたい

 

くれぐれも皆さんによろしく伝えて下さい

最后になりましたが あなたの幸福(しあわせ)を

心から遠くから いつも祈っています

 

おめでとう さようなら

※出典: http://lyrics.jetmute.com/viewlyrics.php?id=2424991

 

 柴田紘一郎氏は「風に立つライオン」を収録したアルバム「さだまさしベスト」にコメントを寄せているが、その一節に次の文がある。

〈“風に立つライオン”は小生のアフリカでの2年あまりの体験及び浅学菲才のゆえの雑談を医師を例にとり、人としての生き方をまさしさんの感性と才能で創作した曲である。

 この歌は、現代人の心の不摂生のため、過剰にしみついた魂の脂肪に対する警告でもあるように聴こえる。小生もアフリカの大地を通して学んだ事をすこしでも役立てて“風に立つライオン”のようになりたい。〉

  

 また、別のところで医者について次のように述べている。

「医者の良い点というのは、我々はどこにいても、例えば無医村にいても都会にいても、相手となる患者さんというのは尊厳価値においては同一じゃないですか。どういう所にあっても全力で仕事ができるというところでしょうか。悪い点は、医者の中には”自分が治している”と勘違いしている人がいる、ということでしょうね。患者さん自身が治ろうと、治そうとしているのに、医者はそれを神様と共にちょっと手助けするだけなのに、”自分が治している”と思い上がった心を持ってしまう…。まあこれは僕だけの意見ですけどね。」

(出典:小説『風に立つライオン』と柴田紘一郎先生 | チーム八ちゃん)

 

〇2019年四季折々(2月11日~17日)

(11日)・極寒の鷲へ撮る人溶け込めり 

 神戸では朝から雪。今年一番の寒さとなる。9日の北海道内4地点で零下30度を下回り、釧路市の阿寒湖畔など10地点で観測史上、最も低い気温を記録したという。北海道鶴居村で国の特別天然記念物タンチョウが、川面から立ち上がる水蒸気が冷気に触れて霧になる「けあらし」の間を飛び交う幻想的な光景が一枚の写真として新聞に掲載されていた。

 いつも楽しみにしている井口義友氏は「大鷲の幼鳥の鼻の孔付近は呼吸の息が凍り白く塊に、目の周りも目の涙が凍り付いて白くなっている」鮮やかな写真をFacebookに掲載していた。

 撮る人は、そこと同じ環境の中に身を置き、じっくり待ちながら、ある一瞬を写真に焼き付ける。それを見る人はそれぞれの仕方で、そこから時空を超えた何かを感じ取るのだろう。

 

(12日)・身のうちを揺り動かすや涅槃西風

 友人から私の知り合いでもある安義寺住職の吉水秀樹氏の書いた素敵な絵本があるよと聞いて、その著『ダニヤ経 -ブッダが説くゆるがないしあわせ』を取り寄せた。

『ダニヤ経』はブッダ自身の言葉を簡潔にまとめたものと、仏教興生初期に編纂された最古の仏典のひとつとされている『スッタニパータ』の第一章の二にある。

『スッタニパータ』は難解な仏教用語はほとんどなく、ごく自然に受けとめられる平易な言葉で多くの民衆にじかに接し、問いかけたブッダの息吹が感じられる。

 本書は、ご自分の体験を交えながらわかりやすい言葉で、『ダニヤ教』を解説し、畠中光享氏の絵とともに、おそらくある程度考えることのできる10歳ぐらいの子どもから、おじいちゃんおばあちゃんまで親しんでいける大人の絵本になっているところにまず共鳴した。

『ダニヤ教』は対機説法(相手の資質に相応して理解のゆくように説くこと)で17偈(詩句)が展開される。巻末の付録に「パーリ語と読み方」が掲載されていて、原文の詩の持つ韻をふんだリズミックな詩句が美しく、これも本書の特徴となっている。

〈ダニヤ経の主題は、物質に依存したダニヤさんの「幸福」に対比される、何ものにも依存しないブッダの「真実の幸福(涅槃)」にあります。〉 と著者はいう。

本書を通して、吉水氏がこのような著書を書くようになった成果を喜びたいと思った。

 

(13日)・ありのままのあなたが好きや良寛忌

 ブッダなど仏教書を読むとき、「苦」の概念をきちんととらえておくことが肝要だと思っている。「苦」の原語はパーリ語の(DUKKHA・ドゥッカ)で、その原義は、「空(虚)しい、不安定な、困難な」というような意味で、変わらないようにするのは「苦」。無理に変えようとするのも「苦」。これが人間にとって「生きる」ことだとする。無常と同じような意味合いと思っている。

 私は、「生老病死」が四苦として、「根源的に人間は苦しいものだ」という考えに違和感を覚えていた。調べていくと、仏教で説く「苦」とは「思いのままにならない苦しみ」という程の意で、ひとつの事実認識であると思った。むしろ、「生老病死」のような現象に、「思いのままになる」と執着することのほうが、無理があり苦しみの元になると思われる。 

 自らの曇らせた「思い」で人や社会を思うように計らうことが、パラハラに限らず、おかしなことになる因となる。そして、自らの思い方を留保して、まずものごとや自分のことを「ありのままを見る」ことは、何かを考えるための自覚すべき大事なことと思っている。

 

(14日)・春星や誰のなかにも光あり

 昨日テレビで映画「風に立つライオン」を見る。

「風に立つライオン」は、さだまさしの親しくしている知人で、1960年代後半ケニアのナクールにある長崎大学熱帯医学研究所に出向した柴田紘一郎医師のエピソードをもとに、1987年さだ自身が作詞・作曲をした作品であるその後、さだ自身によって小説化され、2013年に刊行され、2015年には、大沢たかおの企画により映画監督・三池崇史のもとで映画化された。

 曲「風に立つライオン」に惚れ込んだ俳優の大沢たかおが、さだに働きかけて小説化・映画化されたのが本作『風に立つライオン』だ。スーダンの内戦で心と体に傷を負った少年たちの治療と更生に奔走する島田航一郎医師を、大沢が演じている。大沢、石原さとみらはケニアに一ヶ月滞在し、撮影に挑んだ。少年たちを演じるのは、現地のスラムで暮らす少年たちで、物語にリアリティを加えている。

 この映画は、過酷な状況の中で育ったケニヤの少年(たち)が、「医師が患者から奪ってはいけない最も大切なものはな、命じゃないんだよ。希望なんだ-----だってよ。命はその人の身体の持ち物だけど、希望は心の持ち物だろ? 人はよ、身体だけで生きてるんじゃねえだろ? 心で生きてるんだからさ」という医師や支援者によって、その「志」を受け継いだ少年が、東日本大震災の日本で医師として活躍する、といったフィクションならではの内容で、映像ゆえの、このように人は育っていくこともあるのだと、フィクションを超えた何かを感じた。

 

(15日)・風に立つライオンはるか春の虹

『風に立つライオン』は心ある医師を育てるための「NPO法人・風に立つライオン」を立ち上げ、僻地医療や災害救援の従事者を物心両面で支援する「公益財団法人・風に立つライオン基金」の設立など歌から生まれる人助けの連鎖が続き、医療従事者や海外で活動する人たち、青年海外協力隊の人々に、強いメッセージを与えることになる。

 小説の「あとがき」にさだは次のように述べる。

〈もとより歌は、すべて発表した瞬間に僕の所有物ではなくなるが、この歌のように多くの人々を刺激し、沢山のムーブメントを産み出す歌が僕に降ってきたのは初めてのことである。〉

 

(16日)・剪定や木々の語りにすます耳

 おぐらやま農場からリンゴが届いた。今月は予定していた中玉「ふじ」が足りなく「まるかじり」になり、今が旬の人参アロマレッドが入っていた。この人参はとてもおいしい。

 農場では道法スタイルの切上げ剪定をするとき「樹を元気にするにはどこを切ればいいかな」と常に樹に問いかけている毎日だそうだ。

 ここの年間会員になって3年たつが、その生産物への信頼もあるが、少しでも農場を支えていきたいと思っている。自然条件などにより、計画通りにいかないのは当たり前で、今採れるもので賄ってくれたらよいと思っている。2019年度の申し込みが始まっている。

 

(17日)・山笑う切磋琢磨の育ち合い

 今月のおぐらやま農場ニュースレターには、農場主のアキオさんの兄弟のことが載っていた。次男は「木ごころ工房」を経営する大工さん、3男はシステムエンジニアとのことで、元気に活動しているそうだ。多少の接点もある人もいて、懐かしさと感慨を覚えた

 長女の「亜里」さんは、心理学博士で「ニューヨークライフバランス研究所」の代表をしているそうだ。3月6日に『世界に通用する子どもの育て方』(WAVE出版)が発売されるという。アマゾンで予約受付をしている。

 昨秋娘が出産、わが家でも是非読んでおきたいと思っている。