日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

鷲田清一

◎孫の成長記録(姉2歳2ヶ月、弟4ヶ月)コミュニケーションの基本。

※〈教育やケア(子育てや介助・介護)は、その相手である一人ひとりの思いに濃やかに耳を傾けることからはじまり、また相手がいつの日かみずからの足で立つ、みずからをたてなおすのをじっと待つ、ということがとくに大きな意味をもついとなみである。〉(鷲…

◎〈対話〉の可能性(鷲田清一「ひとを理解すること」から)

〇先日掲載した、平田オリザ『対話のレッスン』の「二一世紀、対話の時代に向けて」で次のように述べる。 〈二一世紀のコミュニケーション(伝達)は、「伝わらない」ということから始まる。……対話の出発点は、ここにしかない。 ・私とあなたは違うというこ…

◎自我意識にたてこもらない他者体験

〇わからないものをそのまま受け入れる 最近、とても嫌な思いがしたことがある.いろいろ振り返ってみると、これと同じような感情はだいぶ前のことになる。ここ10年の暮らしでも、いろいろなタイプの人と関わったが、そのようなことが思い当たらなかった。…

◎「自立主義的生活規範」と「自律」について。

〇「自律」は、自分の考え、行為を主体的に選択すること。それに対して、「自立」は他に依存しないで、自分の力で判断したり身を立てたりすること。 ちなみに、広辞苑では次のようになっている。 【自立】:他の援助や支配を受けず、自分の力で判断したり身…

◎前傾姿勢の社会から離れて

〇振り返ってみることを大事に(※改訂再録) ​ 福祉の現場で様々な高齢者に接し、父母や義父母を見送り、今や自分も難病を抱え高齢化社会の渦中に入っている。 以前、母についての随筆「今ここにある幸せ」に次のことを書いた。 【老齢や死は人としての自然現…

◎価値の遠近法に照らして、必要なものを絞り込む。

〇断捨離と価値の遠近法 ​ 福祉関係だけでなく、高齢化社会や老いの暮らし方に関する会合で、断捨離のことがよくテーマになる。 特に高齢化した親と同居している人や地元に長い間根付いている人の跡継ぎなどには、使わないもの、使えないものがあふれていて…

◎家族とは人間社会だけの普遍的な現象らしい。

〇緊急事態宣言が出て日々散歩している。私たちの散歩コースは海沿いや芦屋市の大きな公園、美術館沿いの幅広い遊歩道が広がっている。 そこで子ども連れの家族、乳幼児を連れたお父さんお母さんとよく出会う。総じて和やかな雰囲気があり、子どもたちも楽し…

◎語りなおしと、その〈伴走者〉(鷲田清一『語りきれないこと 危機と傷みの哲学 』から)

〇鷲田清一『語りきれないこと』から 東北大震災以後に書かれた、鷲田清一『語りきれないこと』を読み返した。 「まえがき」で鷲田は次のように述べている。 〈被災地の人たちのからだの奥で疹いたままのこの傷、この苦痛の経験が、やがて納得のゆく言葉でか…

◎ある制約から可能性をひろげる(館野泉さんに触れながら)

※館野泉さんに触れながら、「制約」(条件や枠をもうけて、自由な活動や物事の成立をおさえつけること)と、それにとらわれることなく、自由に可能性を広げていく見方を考える。 老化・疾病・障害の見方にも大いに関係していると思う。 〇 館野泉さんのこと …

◎先行世代から後続世代へ(内田樹『ローカリズム宣言』から)

※ここのところ身近な人が亡くなり、一方新たないのちが誕生している。そこで、改めて自分の立つ位置を考えてみる。 最近ともすれば自己の衰えに目がいきがちになるが、そのことよりも、人生リレーの一員として、世話を受けてきた先行世代からバトンを受け、…

◎人の「弱さ」に焦点をあてることで見えるもの

〇人は根本的に”弱い“生き物 NHKスペシャル「人類誕生」第 1 集「こうしてヒトが生まれた」は、次のように構成されていた。 霊長類から人類誕生の過程で、二足歩行‐道具の発明‐脳の発達、と身体の進化に相伴って、最近の研究成果から、家族の形成・一夫一妻…