日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

鶴見俊輔

◎原爆の日に思うこと。(さだ・まさしと鶴見俊輔)

〇原爆体験の風化について。 よく戦争体験や原爆体験の風化ということが問題になる。 「風化させてはならない」とどんなに努力しても、風化は避けられない。 戦争の体験や原爆に冒された体験は、あくまでそれに出会った人個人の中に沈潜し、その人自身の心の…

◎孫の成長記録(姉2歳3ヶ月、弟5ヶ月)「わたし」で自分が深まっていく。

〇「わたし」で自分が深まっていく。 お姉ちゃんは行動範囲も広がり、エネルギシュに動き廻り、散らかし方もますます派手になる。 ことばも増え、自己主張が非常に強くなり、自分の思いを伝えたいという欲求も高くなって、「いや」という否定もはっきりいう…

◎もうろくの冬から(鶴見俊輔『敗北力』を読む)

〇『敗北力−−Later Works』は、2015年7月、93歳で死去した哲学者、鶴見俊輔さんの遺著ともいうべき本。 「Later Works=レイター・ワークス」は鶴見さん自身が書き留めていた言葉で「晩年の作品集」という意味合いになるのか。文芸評…

◎共同性と共同幻想(鶴見俊輔と吉本隆明の対話などから)

〇ひとは他者との相互依存でなりたっている。「わたし」の生も死も、在ることの理由も、他者とのつながりのなかにある。 また、ひとりでは生きていけない人間は、さまざまな人間とコミュニケートしながら社会をつくる。 最近の進化生物学は、ヒトは同胞とと…

◎間違いを素直に認める。(73歳の誕生日に思う)

〇昨日73歳の誕生日を迎えた。何人かの人から声かけてもらってありがたいと思った。 最近病が進み、足つきがヨタヨタ、ろれつがヘロヘロで、 ますます身体のギクシャク度が増してきているが、今やれることに向き合うだけと思っている。 見方をかえればよくこ…

◎自分の足で立ち自分の頭で考える。

〇人が生きていくときに、考えたり問い続けたりすることは大切にしたいと思っている。それに先立って「自分の足で立ち、自分の頭で考える」ことは必然的なことである。 1歳半の孫の育ちを見ていて、多くのことを親など家族に支えられて育まれていくが、「自…

◎鶴見俊輔「言葉のお守り的使用法」から

〇鶴見俊輔は自らも含めて立ち上げた雑誌『思想の科学』の活動目的は、「第一に敗戦の意味をよく考え、そこから今後も教えを受け取る」こととし、「大衆は何故、太平洋戦争へと突き進んでいったのか?」を問い始める。その理由の一つとして、「言葉による扇動…

◎手づくりの定義へ(『定義集(ちくま哲学の森 別巻)』から)

〇手づくりの定義へ 日ごろ思うこと感じることを、話したり書いたりしている。その当たり前と思っている見解について、振り返り調べて見直ししていくことも大切にしたい。 『定義集(ちくま哲学の森 別巻)』(鶴見俊輔・安野光雅・森毅・井上ひさし・池内紀…

◎「比べる」について思うこと(「ありのままを見る」ことの模索

※安義寺住職の吉水氏のFacebookの記事に示唆されることがあり、その投稿記事の「『比べる』について」を私の関心にてらして考えてみる。 〇吉水氏が述べる「比べる」は「慢」mānaマーナのことで、アビダンマの「不善心所」14項目の「欲」のグループにあり、…

◎「いのち受け吾子は花野をかけめぐる」

娘の妊娠中に、生まれてくる子の名前をどうしようかと話題になったことがある。10月出産予定なので、女の子だったら俳句で秋の季語となっている「花野」で〈かの〉とよんではどうだろうかと言ったところ、娘も気にいったようで、そのように名付けた。 「花野…

◎「間違い主義」と「アブダクション」について(1)

〇このところ、「自分にたてこもらない(他者体験)」ということを考えている。最近、まど・みちおの戦争協力詩についての一連の報道に触れていくと、「間違い主義」のことにつながっていった。 それについて、鶴見俊輔は、次のように度々取り上げている。メ…