日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

東日本大震災

◎東日本大震災から12年に思う(雄勝病院の記録など)

○東日本大震災から12年になる。 私が思う大きな課題として次のことを思う。 ①一人ひとり違いがあるとしても、少なからずの被災者当事者にとって、どこまでも付きまとうからだの奥で疹いたままの苦痛の経験であろう。 ②人間にはどうしようもない未曾有とも…

◎寺田寅彦の災害観について学ぶ②(「津波と人間」「日本人の自然観」より)

〇「津波と人間」より 《昭和八年三月三日の早朝に、東北日本の太平洋岸に津浪が襲来して、沿岸の小都市村落を片端から薙なぎ倒し洗い流し、そうして多数の人命と多額の財物を奪い去った。明治二十九年六月十五日の同地方に起ったいわゆる「三陸大津浪」とほ…

◎寺田寅彦の災害観に学ぶ①(随筆「天災と国防」より)

〇東日本大震災の激甚災害から10年になり、また、新型コロナウィルスという厄災の渦中、NHK「100分de名著・第1回 寺田寅彦「天災と日本人」」が放送された。 番組は寺田の災害観のエッセンスがつまった随筆集「天災と日本人」をもとに、「自然」とのつな…

◎語りなおしと、その〈伴走者〉(鷲田清一『語りきれないこと 危機と傷みの哲学 』から)

〇鷲田清一『語りきれないこと』から 東北大震災以後に書かれた、鷲田清一『語りきれないこと』を読み返した。 「まえがき」で鷲田は次のように述べている。 〈被災地の人たちのからだの奥で疹いたままのこの傷、この苦痛の経験が、やがて納得のゆく言葉でか…

◎九年目(2020年度)の東日本大震災の記録から

※「“中間貯蔵施設”に消えるふるさと~福島 原発の町で何が~」「“奇跡”の子と呼ばれて~釜石 震災9年~」の二つの記録を取り上げる。 〇7日にETV特集選「“中間貯蔵施設”に消えるふるさと~福島 原発の町で何が~」をみた。番組内容は次にようになっている。…

◎共存そして希望を(渡辺京二『東日本大震災で考えたこと』から)

〇 渡辺京二は『東日本大震災で考えたこと』の「かよわき葦」で次のように語っている。 〈人間がこの地球上で生存するのは災害や疾病とつねに共存することを意味する。(中略) 人間が安全・便利・快適な生活を求めるのは当然である。物質的幸福を求めずに精…

◎過去も未来も、いまここにしかない。(柳美里著『町の形見』を読んで)

〇この作品をとおして、東日本大震災のような社会的影響に及ぶものから個人的なものまで、ある体験を語ることや、戯曲・小説など文芸作品として表現することについて考えた。 上演を見ていないが、巻末の解説文を参照しつつ舞台を想定しながら読んでいた。 …

◎東日本大震災 次代に繋ぐ

〇遺族代表の挨拶から 情報化社会で様々なニュースがはいってくるが、関心の向かないことはすぐに忘れるし、関心を覚えても身近に感じられないと、やがて風化してしまう。 東日本大震災についても、今の暮らし方を見直す座標軸としてとらえたいと思っても、…