日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

戦争関連

◎鶴見俊輔「言葉のお守り的使用法」から

〇鶴見俊輔は自らも含めて立ち上げた雑誌『思想の科学』の活動目的は、「第一に敗戦の意味をよく考え、そこから今後も教えを受け取る」こととし、「大衆は何故、太平洋戦争へと突き進んでいったのか?」を問い始める。その理由の一つとして、「言葉による扇動…

◎日々彦「詩句ノート」 伊藤君恵『元山脱出』など

〇伊藤君恵『元山脱出』の五 (※本ブログ2015年6月6日に全文掲載) ※平成八年、引き揚げ五十年目を迎えるに当り、往時を回顧し、日本の歴史の大変動の波を受けた体験を是非子や孫に伝えたるべく、義母・伊藤君恵が書き綴ったものである。 五 元山脱出 昭和二…

◎叔母の死に触れて、戦争のこと

〇叔母の死 3月10日に叔母が亡くなり、すぐに叔母の家にかけつけ、拝ましてもらう。普段からこぎれいな方であり、穏やかな寝顔でやすらかな感じがした。死因は急性心臓病、享年84歳。 教職退職後、しばらくして社会福祉法人「放泉会」に関わり、その中…

◎重松清『赤ヘル1975』と戦争・原爆の語り継ぎ

〇重松清『赤ヘル1975』を読む 大のカープファンで、リーグ優勝が現実のものになりはじめてからソワソワする日が続いて、優勝が決まって取りあえずホットしている。 小学生の頃、父に連れられて試合をみに後楽園、駒沢、神宮などによく行っていた。父は今の…

◎石原吉郎に関する各種論考から

〇「私は告発しない、ただ自分の〈位置〉に立つ。」 最近、ある関心から石原吉郎関連の本を読むことが多い。その中で、石原の信念ともいえる「〈告発の姿勢〉や〈被害者意識〉からの離脱、断念」に、思うことがある。 折々、私は実顕地のことについて書いて…

◎〈体験〉そのものの体験(石原吉郎のエッセイなどから)

〇体験から追体験をへて身についた経験へ 最近、コミックエッセイ『カルトの村で生まれました』や、そのことも含めてその時期の実顕地のことについて、知人や元学園生、家族などと話し合ったり、自分のことをふりかえったりする。 また、これまでも人の体験…

◎一人ひとりの〈生〉に寄り添って(石原吉郎の論考などから)

〇私的体験と計量的発想法 先日、交流している福島の友人Sさんと話す機会があった。東日本大震災のことに話が及ぶ。 復興についてはまだまだなこともあるが、そうじて現象的には落ち着いてきているのではないかと仰っていた、 Sさん一家は大震災のただ中に…

◎まど・みちおの『続・全詩集』の戦争協力詩について

〇過去に起こったことを現在に活かすことについて。 知人のブログに、まど・みちおの戦争協力詩に触れていて、思うことがあり調べてみた。 昨年11月戦争協力詩を含む「続 まど・みちお全詩集」(理論社、2015・9月)の刊行を期して、報道各社、関係者など…

◎大岡昇平『俘虜記』『野火』を読んで

※『俘虜記』『野火』を読んで(1) 〇事態は動物的ですらなかった 敗戦濃厚な戦時中という異様な状況で、死と直面している人々の意識、感覚などの混乱と交流を、心理分析と戦場空間に広がる自然、風景を秀麗なレトリックで随所に織り込みながら描いたものだ…

◎義父母の朝鮮移住と在朝日本人について

〇義父母と戦争体験 ​ 義母一家が朝鮮に移住したのは大正末頃だった。その理由を詳しく話してもらわなかったが、心機一転的な要素があったようだ。 3・1運動後の文化政治の陰で、治安第一主義の標榜のもとに警察官の募集が積極的に行われ、義母の父親は巡…

◎古山高麗雄『日本好戦詩集』を読んで

〇複眼的戦争論 古山高麗雄『日本好戦詩集』(『季刊藝術』1979年冬号)は、『季刊藝術』の編集長として、また作家として活動していた58歳のときの自伝的短編小説である。 自分で自分が腐ってしまうような日常をつくっている主人公が、自炊をはじめて、と…

◎義母の経歴、短歌など

〇義母のこと「五十年前に書きたる脱走記刷りて配りぬ今語らねばと」 義母は大正5年(1916年)9月7日 島根県八束郡の小原家の次女として出生。両親の仕事の関係で朝鮮の京城(ソウル)に移住、そこで育つ。昭和11年3月京城女子師範学校卒業後、朝…

◎随筆「元山脱出」

※平成八年、引き揚げ五十年目を迎えるに当り、往時を回顧し、日本の歴史の大変動の波を受けた体験を是非子や孫に伝えたるべく、義母・伊藤君恵が書き綴ったものである。字句の訂正など少し手を入れたが、ほぼ原文のままである。 2015年のブログの「家族のこ…