日々彦「ひこばえの記」

日々の出来事、人との交流や風景のなかに、自然と人生の機微を見いだせてゆけたら、と思う。※日々彦通信から一部移行。

◎「安全感の環」の中で育つ孫(9か月)

〇孫の育ちの観察から、人が育つとは何だろう、心(脳)はどのように発達していくのだろう、社会性を身につけるのはどのようなことなのだろう、などいろいろ考えるのは面白い。 9か月を過ぎて、ある程度周りの状況をつかめるようになって、快・不快による原始…

◎「わがまま」な人から「協力」し合うようになるとは

◎孫の育ちから思う(8か月)② 8か月過ぎの孫を見ていると、生後混沌とした状態から視力もはっきりしてきたのか、特に母親だけでなく、人の顔をまじまじと見つめるようになった。おそらくそれに伴って知力がつき、心のありようも少しずつ豊かになってきたよう…

◎子育てがしやすい社会へ(孫の育ちから)

〇孫の育ちから思う(8か月)① 8か月を過ぎた孫を見ていると、いろいろと思うことがあり面白い。 ハイハイをするようになり、言葉にはならないが、呼びかけなのか喜びなのか大きな声を出しつつ、情緒豊かに動きも活発になってきた。意志・意欲もつよく出て…

◎鶴見俊輔「言葉のお守り的使用法」から

〇鶴見俊輔は自らも含めて立ち上げた雑誌『思想の科学』の活動目的は、「第一に敗戦の意味をよく考え、そこから今後も教えを受け取る」こととし、「大衆は何故、太平洋戦争へと突き進んでいったのか?」を問い始める。その理由の一つとして、「言葉による扇動…

◎手づくりの定義へ(『定義集(ちくま哲学の森 別巻)』から)

〇手づくりの定義へ 日ごろ思うこと感じることを、話したり書いたりしている。その当たり前と思っている見解について、振り返り調べて見直ししていくことも大切にしたい。 『定義集(ちくま哲学の森 別巻)』(鶴見俊輔・安野光雅・森毅・井上ひさし・池内紀…

◎色の背後に一すじの道が通っている(志村ふくみ、大岡信の言葉から)

〇色の背後に一すじの道が通っている 桜についての印象的な話に、染織家志村ふくみさんの話がある。 きれいな淡い、匂い立つような桜色を染め出すために、桜の花びらや蕾ではなくて、花の咲く前の黒くゴツゴツした樹皮や枝を使うのだという話。 ・「花びらか…

◎「昭和」「平成」から「令和」へ

〇新年号が「令和」となり、5月から実施されることになる。 『万葉集』巻五、梅花の歌三十二首の序文「時、初春の令月(れいげつ)にして、氣淑(よ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前(きょうぜん)の粉を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かをら)す」が典拠だ…

◎遠回りすることが一番近道(イチロー選手引退に思うこと)

〇イチロー選手の魅力は、その実績以上に、常に理想を追求し、努力を積み上げていく“生き様”、最後まで挑戦を続ける求道者としての姿だ。 「過去も未来も、いまここにしかない」と現在自分のやれることを精一杯生ききり、その積み重ねが明日につながるとのス…

◎日々彦「詩句ノート」、『石原吉郎句集』と短歌集『北鎌倉』

〇『石原吉郎句集』と短歌集『北鎌倉』 石原吉郎(1915-1977)は、1945年ソビエト軍に抑留、25年の「重労働刑」を宣告されシベリアの強制収容所で服役。1953年スターリン死去に伴う「特赦」により帰還、その後、本格的に詩を書き始め、その分野で注目されるよ…

◎日々彦「詩句ノート」、柳美里著『町の形見』の巻末の挨拶文から

〇柳美里著『町の形見』の巻末の挨拶文から ・言葉の解放(「静物画」パンフレット挨拶文)より 〈2011年三月十一日とその後に続く避難生活の中で声を呑み、感情を巻き添えにして沈黙を通している人は多い。 言葉は、元来、声である。 沈黙の中から感情…

◎過去も未来も、いまここにしかない。(柳美里著『町の形見』を読んで)

この作品をとおして、東日本大震災のような社会的影響に及ぶものから個人的なものまで、ある体験を語ることや、戯曲・小説など文芸作品として表現することについて考えた。 上演を見ていないが、巻末の解説文を参照しつつ舞台を想定しながら読んでいた。 表…

◎日々彦「詩句ノート」、正岡子規の俳句、短歌、随筆『病牀六尺』など

〇正岡子規の俳句、短歌、随筆『病牀六尺』 正岡子規(1867年―1902年)。1897年(明治30年)に俳句雑誌『ホトトギス』を創刊。子規31歳の1899年夏頃以後は脊椎カリエスからほとんど病床を離れえぬほどの重症となり、数度の手術も受けたが病状は好転せず、や…

◎松村 亜里 (著)『世界に通用する子どもの育て方 』を読んで

〇本書を読んで次のことを思った。 ・「何をすると子どもがダメになるのか」ではなく、「どのような関わり方が子どもの幸せにつながるのか」という視点から、科学的に探究を重ねてきた。 ・質の良い親子関係、人間関係が子どもの健康、幸福度を高める。 ・「…

◎日々彦「詩句ノート」、V・E・フランクル『それでも人生にイエスという』

〇V.E. フランクル『それでも人生にイエスと言う』の言葉から ・私たちが「生きる意味があるか」と問うのは、はじめから誤っているのです。つまり、私たちは、生きる意味を問うてはならないのです。人生こそが問いを出し私たちに問いを提起しているのです。…

◎マルクスの自分中心的な人間観から「地動説」的な人間観への転換(内田樹『寝ながら学べる構造主義』から)②

わたしは知識としては地動説を知っているが、感覚としては,日が昇り・日が沈むといい、自然界の動きなどについてはほとんど、自己を軸にした天動説な見方をしていることが多い。これはものの見方、思考方式そのものが、少なからず天動説的な感覚を持って暮…

◎日々彦「詩句ノート」、浅井慎平句集から

〇浅井慎平句集から ・『ノスタルジア』(浅井愼平句集 2008) 「ノスタルジアは人生そのものである。人はなにかを見ればなにかを思い出す。五感すべてがノスタルジアの装置というわけだ。ぼくの場合俳句という表現にノスタルジアが、いつも忍び寄ってくる。…

◎私たちは「偏見の時代」を生きている(内田樹『寝ながら学べる構造主義』から)①

〇本書のまえがきで次のように述べる。 〈知性がみずからに科すいちばん大切な仕事は、実は「答えを出すこと」ではなく、「重要な問いの下にアンダーラインを引くこと」なのです。 知的探求は(それが本質的なものであろうとするならば)、つねに「私は何を…

◎日々彦「詩句ノート」、さだまさし作詞・作曲『風に立つライオン』

〇さだまさし作詞・作曲『風に立つライオン』 突然の手紙には驚いたけど嬉しかった 何より君が僕を怨んでいなかったということが これから此処で過ごす僕の毎日の大切な よりどころになります ありがとう ありがとう ナイロビで迎える三度目の四月が来て今更…

◎移行のお知らせ

〇お知らせ 「はてな」から次のお知らせが来ています。 〈はてなダイアリーは、2019年1月28日に記事の更新を停止し、2月28日には全機能を停止する予定です。〉 そこで2月22日をめどに次のようにします。 ブログ名「日々彦の文芸欄」 http://hibihiko-ya.ha…

◎『風に立つライン』と希望をもたらす人たち

〇「風に立つライオン」は、さだまさしの親しくしている知人で、1960年代後半ケニアのナクールにある長崎大学熱帯医学研究所に出向した柴田紘一郎医師のエピソードをもとに、1987年さだ自身が作詞・作曲をした作品である その後、さだ自身によって小説化され…

◎日々彦「詩句ノート」、さだまさし「償い」「親父の一番長い日」

※Facebookの友人たちの交信のなかで、さだまさしの曲「償い」「親父の一番長い日」が話題に出ていた。私も聞いてみて、そこからいろいろなことを考えた。 その作詞作曲の経過は『ウィキペディア(Wikipedia)』に詳しく紹介されていて、YouTubeで検索すると…

◎「比べる」について思うこと(「ありのままを見る」ことの模索

※安義寺住職の吉水氏のFacebookの記事に示唆されることがあり、その投稿記事の「『比べる』について」を私の関心にてらして考えてみる。 〇吉水氏が述べる「比べる」は「慢」mānaマーナのことで、アビダンマの「不善心所」14項目の「欲」のグループにあり、…

◎日々彦「詩句ノート」、照井翠の講演

※東日本大震災は、文芸の各分野に、それを語る表現についての様々な課題をもたらし。俳句関係者(誌)も度々そのことを取りあげている。また、いろいろな体験や関心から多様な俳句が数多く生み出されている。 東日本大震災に関しては、高野ムツオ氏や照井翠…

◎「幸せを分け合う居心地のいい会社」とは(武藤北斗著『生きる職場』から)

※友人のTさんが「イノベーション大学」の企画に参加した報告がFacebookにあった。当日のお題は「働き方」で、講師は「生きる職場」の著者・武藤北斗さんとのこと。 一昨年パプアニューギニア在住の友人のKさんがわが家に遊びに来てくれた。その後、天然エ…

◎ひとりの〈ふつう〉の人として(吉本隆明についての覚書)

〇吉本隆明の「価値ある人間の原像」(改正再録) 吉本隆明に関心を持ち始めたのは、7年ほど前からである。 「老いの流儀」「老いの超え方」「幸福論」など老いの渦中にある自らの体験と実感をもとにしっかりと検証し、過去の思索に適宜言及しながら、「一人…

◎日々彦「詩句ノート」、『悲傷と鎮魂 阪神大震災を詠む』

※1995年1月17日、淡路島付近を震源とする阪神淡路大地震は数多くの人命を奪い、建造物等の被害は莫大なものとなった。 この巨大地震は「豊か」といわれてきた私たちの社会や暮らしが、決して堅固なものではなく、いつ崩落するか分からない。もろくはかない…

◎認知症とそれを支える家族のことなど

〇 年頭に、友人が認知の衰えが激しくなり施設に入所したとの連絡を奥さんから伺った。 一昨年あたりから、排せつなどの調節がままならなくなり、家族にかなりの負担がかかっていて心配していたが、順番待ちの施設に入所できたそうである。 介護関連の活動を…

◎日々彦「詩句ノート」、谷川俊太郎の詩「コトバの波紋」「世間知らず」

〇『生きる―わたしたちの思い』谷川俊太郎with friends について 「谷川俊太郎さんの傑作『生きる』をお手本に、みなさんの『生きる』をつなげてひとつの詩みたいなものを作りませんか?」 07年秋、mixiに書き込まれた呼びかけに、半年で2000件を超える投稿…

◎日々彦「詩句ノート」、天野忠の詩集から

〇ユーモアの精神で老いを生きる(天野忠の詩集から) 70歳を過ぎた私たちや同年齢以上の友人夫婦を見ていて、しばしば老夫婦のあり方を考えるようになる。生まれも育った環境も異なる同士が、何らかの機縁で共に暮らすようになり、長年の間にはお互いの長所…

◎「あなたなしでは生きてゆけない」(内田樹『ひとりでは生きられないのも芸のうち』より)(ひこ生えの記⑫)

〇内田樹『ひとりでは生きられないのも芸のうち』を読んだ。何回も同じ本を読むことはあまりないが、この人の著作は読み返すことが多い。この本に所収されている、Ⅵ「死と愛をめぐる考察」―「あなたなしでは生きてゆけない」に促されるものがあり、自分に引…